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短期前払費用 | ||||||||
H19.04.23 | ||||||||
(1)概要 | ||||||||
法人税法では、前払費用のうち1年以内に提供を受ける役務にかかるものを支払い、その額を継続してその支払いの日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、一定の要件のもとに、これを認めることにしています。 会計上は収益費用対応の原則に従い、適正な期間損益を計算するのが理想的ですが、課税上弊害が生じない範囲で費用計上の基準を緩和して実務の効率化を図るため、法人税法基本通達2−2−14でその旨を規定しています。 |
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(短期の前払費用) 2−2−14 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2−2−14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2−8「七」により追加、昭61年直法2−12「二」により改正) (注)例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。 |
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(2)前払費用の意義 | ||||||||
ここにいう「前払費用」とは、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用で、期末においてまだ提供を受けていない役務に対するするものをいいます。 つまり、
この4つの要件を満たすものと解されます。従って、一定の時期に特定のサービスを受けるためにあらかじめ支払った対価や、継続的な物品の購入などは前払金であって、前払費用には該当しないことになります。例えば、前払給料・前払顧問料・翌期放映のテレビCMなどは一般的に特定のサービスをその時々に受けるためのものですから、前払金として処理するのが妥当と考えられます。 ちなみに、繰延資産は前払費用と同じく資産科目ですが、前払費用はまだ役務の提供を受けていないのに対し、繰延資産は既に提供を受けた役務の効果が将来に及ぶため繰延経理するところに違いがあります。 |
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(3)短期前払費用の意義 | ||||||||
前払費用で1年以内に提供を受ける役務にかかるものを支払い、その額を継続してその支払の日の属する事業年度の損金の額に算入しているときには、税務上、損金として認められます。 「支払った日から1年以内に役務の提供を受けるもの」とは、たとえば、12月決算法人が翌年2月1日〜1年分を年払い契約に従って12月中に支払ったとしても、契約期間の末日が1年を超えていますから、短期前払費用には該当しないことになります。 ただ、1日でも1年を超えたら一年以内と認められないという厳格な取扱にはなっていないようです。もともと、この規定は会計上の重要性の観点から設けられているため、課税上弊害があるかないかが判断の基準になると考えられます。 また、1年を超える場合、一年以内の部分は短期前払費用として損金に算入し、超える部分についてのみ資産計上するという処理は認められません。これも、この規定の趣旨が重要性の原則(費用対効果)と実務上の簡便性を考慮して設けられているからと考えられます。 |
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(4)通常支払うべき日とは | ||||||||
また、短期前払費用について、「通常支払うべき日」前に支払ったものについてもこの通達の適用があるか否かが問題になります。これを無制限に認めてしまうと、納税者側の節税のための決算対策に便利に使われてしまう可能性があるためです。この点に関しては、通達等に明文化されていませんが、一般的には、「原則として、契約又は慣習等によって支払期日が到来した日以後に支払った前払費用に限り、この通達を適用する」ことになっているようです。 この「通常支払うべき日」とは、 @契約又は慣習により一定の支払期間がある場合にはその支払期間、 A契約又は慣習により一定の履行期の定めがある場合には、その履行期、 B契約又は慣習による履行期の定めがない場合には、履行の請求を受けたとき、 と考えられます。 |
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(5)消費税との関係 | ||||||||
1年以内の短期前払費用につき法人税法基本通達2-2-14の取扱を受けている場合には、その短期前払費用にかかる課税仕入れは、その支出の日の属する課税期間に行ったものとして取り扱われます。 |
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(6)その他の注意点 | ||||||||
短期前払費用に関してのその他の注意点を挙げておきます。 @ 借入金を預金や有価証券等に運用する、事務所や駐車場のいわゆる転貸にかかる地代家賃の支払いなど、収益との対応させる必要がある費用に関して適用はありません。(法人税法基本通達2-2-14(注)参照) A 支払手形の振り出しは、たとえ手形満期が到来していなくても「支払った場合」に含まれると考えられます。 B この通達の趣旨は、元々重要性の原則から課税上弊害が生じない範囲での費用計上基準の緩和を図ったものですから、この取扱を悪用し、形式的基準のみをクリアさせることにより、支払いベースで一括費用計上をすることは認められませんので注意が必要です。 金額がいくらまでなら認められる等の明文規定は当然ながらありません。また、その判断においては、金額だけではなく、法人の財務内容に占める割合や影響等も含めて総合的に考慮する必要があります。 |
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